コラム
すすきので居抜き譲渡を考えている方へ|閉店前に知っておきたい流れと注意点
すすきのは、札幌市中央区に位置する日本屈指の歓楽街です。飲食店やバー、スナックなどがひしめき合い、日々多くの人々で賑わいを見せる一方、トレンドの移り変わりや競争が激しく、店舗の入れ替わりが多い街でもあります。
現在、すすきので店舗を経営されている方の中には、オーナーの高齢化による引退、他業態への転換、あるいは諸事情による撤退など、様々な理由から「閉店」を視野に入れている方もいるのではないでしょうか。
店舗を閉める際、そのまま賃貸借契約を解約してスケルトン状態(骨組みだけの状態)に戻すには、莫大な原状回復費用がかかります。そこで今、すすきのの店舗オーナーの間で強く注目されているのが「居抜き譲渡」です。
本記事では、すすきので店舗の閉店・移転を考えている方に向けて、居抜き譲渡が注目される理由や「造作譲渡」との違い、事前に確認すべき注意点、具体的なメリットまでを専門的な視点から分かりやすく解説します。
- すすきので居抜き譲渡が注目される理由
- 居抜き譲渡とは?造作譲渡との違いもあわせて解説
- すすきので居抜き譲渡を進める前に確認したいポイント
- すすきので居抜き譲渡を行うメリット
- すすきので居抜き譲渡を考えているなら早めの相談がおすすめ
すすきので居抜き譲渡が注目される理由
すすきのエリアにおいて、なぜこれほどまでに「居抜き譲渡」が注目されているのでしょうか。その理由は、すすきの特有の地域性と、底堅い出店需要にあります。
1. 新規出店希望者が常に多い激戦区
すすきのは、地元住民だけでなく国内外からの観光客も集まる巨大なマーケットです。そのため、「すすきので新しく飲食店を始めたい」「バーやスナックを開業したい」という出店希望者が絶えません。特に、人通りの多い中心部のビルや路面店は、常に狙っているプレイヤーが存在します。
2. 初期投資を抑えたい新オーナーのニーズ
現在、建築資材の高騰や人手不足の影響により、ゼロから内装や厨房設備を整える「スケルトンからの出店」は非常にコストが高くなっています。少しでも初期費用を抑えてスピーディーに開業したい新オーナーにとって、すすきのの一等地にある居抜き物件は、喉から手が出るほど欲しい物件なのです。
3. 閉店コストを抑えたい現オーナーとのマッチング
一方で、閉店を決意したオーナーにとっては、数百万〜数百万円にものぼる解約費用や原状回復工事費用が大きな重荷となります。双方の「安く出店したい」「コストを抑えて退去したい」というニーズが完璧に合致するため、すすきのでの居抜き譲渡は非常に活発に行われています。
居抜き譲渡とは?造作譲渡との違いもあわせて解説
「居抜き譲渡」と似た言葉に「造作(ぞうさく)譲渡」があります。実務上はほぼ同じ意味として使われることが多いですが、厳密には指し示す対象が異なります。トラブルを防ぐためにも、正しい意味を理解しておきましょう。
- 居抜き譲渡とは 店舗の内装、厨房機器、什器(机や椅子)、照明、空調設備などをそのまま残した状態で、店舗の営業権や賃借権を第三者に譲り渡すことを指します。物件全体の「状態」に着目した言葉です。
- 造作譲渡とは 前オーナーが設置した内装や設備(=造作)の「所有権」を、新オーナーに有償(または無償)で売却・譲渡する契約行為そのものを指します。
分かりやすく表にまとめると以下のようになります。
| 項目 | 居抜き譲渡 | 造作譲渡 |
| 主な意味合い | 設備や内装が残った**「物件の状態」**や取引全体を指す | 内装や厨房機器などの**「財産(造作)の取引」**を指す |
| 対象となるもの | 物件の賃借権の移動、内装、設備、什器など一式 | 厨房機器、空調、家具、カウンターなどの「動産」が中心 |
| 契約の性質 | 不動産会社や家主を交えた全体の引継ぎ | 現オーナーと新オーナー間での資産の売買契約 |
基本的には「居抜き物件として引き渡すために、造作譲渡契約を結ぶ」という関係性になると覚えておけば問題ありません。
すすきので居抜き譲渡を進める前に確認したいポイント
すすきので居抜き譲渡を成功させるためには、事前の準備と確認が欠かせません。すすきのの歓楽街特有のルールもあるため、以下の4つのポイントを必ずチェックしてください。
① 賃貸借契約書の「原状回復義務」と「譲渡禁止条項」
まずは、現在結んでいる賃貸借契約書を隅々まで確認してください。 多くの契約書には「退去時はスケルトンに戻して返却すること(原状回復義務)」や「第三者への無断譲渡・転貸の禁止」が明記されています。居抜き譲渡を行うには、家主(ビルオーナー)や管理会社の承諾が絶対条件となります。
② リース物件やレンタル品の有無
厨房機器(製氷機や食器洗浄機など)や、すすきののバー・スナックで定番のカラオケ機器、ビールサーバーなどは、リースやレンタル契約になっているケースが多々あります。 これらはオーナー個人の所有物ではないため、勝手に他人に売却・譲渡することはできません。解約手続きを行うか、新オーナーにリース契約を引き継いでもらう(名義変更)などの手続きが必要です。
③ 譲渡資産のリストアップ(店舗資産の明確化)
トラブルで最も多いのが「譲渡されると思っていた機器が含まれていなかった」という認識のズレです。
- 冷蔵庫、ガスコンロなどの厨房機器
- テーブル、椅子、ソファ
- エアコン、居酒屋などのダクト(排気設備)
これらをすべてリスト化し、型番や状態を記録した「造作譲渡資産目録」を事前に作成しておきましょう。
④ すすきの特有のビル管理ルール
すすきのの雑居ビルや飲食ビルは、夜間営業の騒音トラブル防止や、ゴミ出しのルール、特定の業種(風俗営業や深夜酒類提供など)の制限など、ビルごとに独自の規約が設けられていることが一般的です。次の入居者がそのビルのルールに適合するかどうかも、家主の審査に大きく影響します。
すすきので居抜き譲渡を行うメリット
居抜き譲渡を選択することには、単に「ラクに辞められる」以上の大きな金銭的・時間的メリットがあります。
💡 居抜き譲渡の4大メリット
- 原状回復費用(スケルトン工事費)をゼロにできる 通常、飲食店を解約する場合、坪単価数万円〜十数万円の解約工事費がかかります。居抜きであればこの費用が一切かかりません。
- 解約予告期間中の「空家賃」を削減できる 多くの商業ビルでは、退去の3ヶ月〜6ヶ月前に解約予告を出す必要があります。その期間中も営業を続けるか家賃を払い続ける必要がありますが、居抜きで即座に次の入居者が決まれば、家賃負担を大幅に減らせます。
- 造作譲渡料(売却益)が手元に残る可能性がある 状態の良い厨房機器や、デザイン性の高い内装であれば、数百万円単位で新オーナーが買い取ってくれるケースもあります。閉店するにもかかわらず、まとまった資金を得られる可能性があります。
- スタッフや常連客、仕入れ先を守れるケースも 「営業譲渡(事業譲渡)」に近い形で引き継ぎを行えば、これまで働いてくれたスタッフの雇用を維持したり、大切にしてきた常連客にそのまま店を使ってもらったりすることも可能になります。
すすきので居抜き譲渡を考えているなら早めの相談がおすすめ
「もうすぐ店を閉めようと思っているから、来月あたりに家主へ解約届を出そう」
そう考えている方は、少し立ち止まってください。実は、家主に解約届を出した後に居抜き譲渡を進めるのは、非常に難易度が高くなります。
なぜなら、解約届を受理した時点で、管理会社は次の募集を「スケルトン物件」として始めてしまったり、原状回復工事の手配を進めてしまったりするからです。また、期限が区切られることで、買い手との交渉で不利な条件(買い叩かれるなど)を飲まざるを得なくなるリスクもあります。
成功の鍵は「完全非公開」での早期相談
居抜き譲渡を成功させる鉄則は、「現在の営業を続けながら、家主に解約を伝える前に、信頼できる専門業者に相談すること」です。
特にすすきのエリアは、噂が広まるのが非常に早い地域でもあります。「あの店、潰れるらしいよ」というネガティブな噂が流れると、現在の客足に影響するだけでなく、譲渡価値自体が下がってしまう危険性があります。
そのため、まずは以下のステップを推奨します。
- 賃貸借契約書を手元に用意する
- すすきのエリアの店舗物件・居抜きに強い専門業者(不動産会社やM&A仲介会社)に相談する
- 「非公開情報」として、バックオーダー(出店を待ち望んでいる顧客リスト)を抱える業者にマッチングを依頼する
すすきののトレンドを熟知し、数多くの出店希望者リストを抱えている専門パートナーに早期に相談することで、誰にも知られずに、かつ好条件で次のオーナーへバトンを繋ぐことができます。
あなたのこれまでの努力と思いが詰まった大切な店舗です。コストをかけて壊してしまう前に、まずは「居抜き譲渡」という賢い選択肢を検討してみてください。
すすきので店舗の閉店や撤退を考えたとき、まだ使える店をできるだけ活かしたい、居抜き譲渡できる可能性があるなら相談したいという方は、内池の不動産までお気軽にお問い合わせください。
